Kotje Le Chocolat コッチェ・ル・ショコラ

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BRAND STORYブランドストーリー

「那須とカカオの生産地・ダクラク省を繋いでいきたい。自分達のチョコレートを通して、そのきっかけ作りができたらいいなと考えています」

そんな想いを語って下さったのは、栃木県、那須塩原市にあるチョコレートショップ『Kotje Le Chocolat』の平林卓さん・よう子さん夫妻。ベルギーのブルージュから那須に移住して7年――自然豊かな環境でチョコレート作りに向き合うお二人は、穏やかでバイタリティーに溢れています。

写真左端が卓さん、右端がよう子さん

『kotje(コッチェ)』とは、ベルギー北部フランダース地方で用いられているフラマン語で『小さな小屋』や『小さな空間』を意味します。
酪農のさかんな那須塩原市・青木地区の牧草地に囲まれた森の中で、別荘として使用されていた一軒家をリノベーションし
た店舗兼工房からは、温かさと心地良さが滲み出ています。

自然豊かな環境で、生産者の顔が見えるチョコ作りを

卓さんはもともと、フランス・パリの料理学校を経て、日本・ドイツ・ベルギーと各国を渡り歩いてきた料理人でした。郷土料理からモダンキュイジーヌ(現代風のエッセンスを取り入れた料理)まで、土地土地の素材に触れながら、多彩なフレンチの技法を学んできたそうです。

よう子さんは、ワーキングホリデーでドイツに渡り、ヨーロッパの国々を巡っていました。その間に『ボビンレース』という伝統工芸に魅せられ、製法を学ぶためにベルギーに移住することを決意。伝統工芸の学校に通うかたわら、調理師免許を生かしレストランで働くことに。

ブルージュに住んでいた頃の卓さんとよう子さん。 自転車競技が国技でもあるベルギーでの休日には、ロードバイクに乗ってベルギー国内の他の町や、オランダのダムという町にもよく訪れていたそうです。

お互いに様々な国を経て、ベルギーのレストランで同僚として出会い、意気投合した二人は『いつか自分達のレストランを開きたい』と考えていました。当時暮らしていたブルージュ(ベルギー北西部の街)にするか、日本に帰国するか、あるいは新天地に向かうか……。暮らしの拠点を探す中、よう子さんの地元である那須の土地に卓さんが惚れ込み、移住が決まったそうです。
「子供の頃は白馬(長野・日本アルプスの山間部)で暮らしていたので、自然に囲まれた環境に拠点を置けたらいいなとは思っていたんです。それで、実際に那須に行ってみると、緑豊かなだけでなく、こだわりのカフェや、個性的な雑貨店が多くあって……面白い町だなと感じました。インスピレーションが湧くというか、この環境で仕事ができたらいいなと」 それでも、この時点ではまだ『チョコレートのお店を開こう』とは考えていなかったそうです。もともとチョコレートに興味があり、料理人時代、世界的にも人気の高いベルギーのショコラティエ『The Chocolate Line』で研修を受けていた時期もあった卓さん。本格的にチョコレート制作にのめり込んだのは、ビーントゥバーチョコレート(カカオ豆から手作りするチョコレート)の存在を知ってからだったそうです。
レストランではクーベルチュール(チョコレート原料)からのデザート作りが主流であるため、大元の素材であるチョコレートを作ることはありません。素材の1つだと考えていたチョコレートを自作できると知って興味が湧いた卓さんは、早速インターネットでカカオ豆を取り寄せ、家にある道具を駆使してチョコレート制作を始めました。そこでカカオという素材や、チョコレート製造の奥深さを体験し、心から感動したそうです。作ったチョコレートは勿論、よう子さんの口にも。ご夫婦で異なる産地のカカオ豆を食べ比べていく中で、お二人ともベトナムのカカオが持つ『酸味』に惹かれ、市販のチョコレートにはないその香りに魅せられました。そんな中、ベトナムに滞在している友人のもとを訪ねたことが、大きな転機となります。

「カカオ豆って、袋詰めされているものが、市場で日常的に売られているものだと思っていたんです。でも違いました。それがまず衝撃でしたね。それから、どんどんカカオへの興味が湧いてきて……そんな時、ちょうど友人の伝手で知り合った人が『カカオ豆がどこに売っているかは分からないが、地元にカカオ農園がある』と教えてくれたんです。彼は日本に住んでいるベトナム人なのですが『実家に帰るけど、一緒に来るかい?』と誘われて……この機会を逃したら、もう一生行けないと思って、急いでチケットを取りました」 そうしてダクラク省に渡った卓さんですが、なんと、カカオ農園が見つからず迷子に。そこで地元の新聞社を訪ねると『ちょうど先週取材したところだから』と連絡を取ってもらえることに。そこで出会ったのが、現地の農家の人々と、カカオ豆を管理しているサプライヤーの方でした。

ベトナム・ダクラク省にて。現在はカカオをはじめ、胡椒やフルーツ、ナッツなど さまざまな農家さんを訪ね、交流を深めています。

「実際に農園を回って、サプライヤーさんと英語でコミュニケーションを取ってみて、とても信頼できるなと感じたので、是非ダクラク省のカカオ豆を使いたいと伝えました。ただ、国を跨ぐ取引には、私も彼らも慣れていなくて……それでも、ここの豆だからこそチョコレートを作りたい、と思ったのでダイレクトトレード(直接取引)することにしました」
当初は那須でレストランを営む計画でしたが、チョコレート作りを本格的に始めた卓さんの背中を力強く押したのは、他でもないよう子さん。

「心惹かれるものが見つかって、現地に行ってみて、どう暮らしていくかはその後に考えればいいかなと思っています」

異国の地を渡り歩いてきたお二人は、既成概念に囚われることなく、自分達の『好き』を大切に、未来を切り開いていきます。こうして、暮らす場所と作りたいものが定まり、素材の調達先も決まって……とても自然な成り行きで『チョコレート専門店』として開業することになりました。

那須とダクラクを繋ぐ懸け橋に

『Kotje Le Chocolat』で使用しているのはベトナム・ダクラク省のカカオ豆のみ。チョコレートを作っている時に、特に意識しているのは、製造を進めていくで徐々に少なくなっていく酸味のコントロールだそうです。
「ダクラク産のカカオ豆ならではの酸味や、ドライフルーツのような果実味――それらを最大限に引き出す方法を日々考えています。例えば、焙煎が浅すぎると必要以上に酸味が残ってしまいますが、焙煎が深すぎると苦味が強く出てしまいます。自分たちの求める『果実味』が際立つような、ちょうどよいラインを常に探っています」
郷土料理を作るような感覚で素材に寄り添い、モダンキュイジーヌの一皿を組み立てていくような自由な発想で、一枚のチョコレートを作り上げる。料理人として、風土も味覚も異なる地域を渡り歩き、伝統製法から近代技法までフレンチの経験を積んだ卓さんならではの感性が凝縮されています。
「同じダクラク産のカカオ豆でも、加える砂糖の量や、合わせる素材、食感で、味わいは変わってきます。シンプルな素材・同じ調味料でも、かけるひと手間や、ちょっとした発想の転換で味わいが変わるんです」
旬の素材を取り入れたり、近隣の道の駅で知り合った農家さんに会いにいったり。那須の四季を肌で感じながら、平林さん夫妻の作り上げる『Kotje Le Chocolat』の味はゆっくりと、じっくりと進化しています。

「自分達の『正解』を見つけていく感じで作っています。春には山菜のチョコレートが食べたいな、と話したりして『ふきのとう』で試作をしてみたのですが、試作しているうちに、素材が旬を過ぎてしまって。じゃあ今のうちにレシピを仕上げて、来年の旬で出してみようか、とか。試作していく中で当初思い描いていたレシピを変更することもあります。『栃木三鷹とうがらし』は、チョコレートのベースをビターなものから甘いものに変えて、よりお酒に合う甘辛い味わいに仕上げました。地元で農作物を栽培している生産者さんに試食してもらって感想を聞いたり、新たな生産者さんや食材を紹介してもらえることもあります。来店当初、甘いチョコレートを好まれていたお客様が、どんどんカカオのパーセンテージが高いものをお求めになったりすることもあるのですが、私達のチョコレートが那須の土地に馴染んでいくのがとても嬉しいです」

お店を始めてから5年。カカオ豆を直接取引しているベトナムの人達にも変化があったそうです。

「カカオの生産地では、なかなかチョコレートを食べる機会に恵まれません。ですので、ベトナムを訪れる時には、自分達の作ったチョコレートやお菓子を持って行って、味の報告をしていたんです。そうしたら次第に、カカオ農家さんも『自分達でチョコレートやお菓子を作ってみたい、作り方を教えて欲しい』と言ってくれるようになって。現地で地産地消する動きも活発になってきました。今後、ダクラクの人達とさらに連携して、現地ならではの素材を生かしたチョコレートも増やしていきたいです。日本とベトナム、気持ちをいったりきたりしながら、離れていても繋がっていると強く感じています」
買う・売るだけではなく、お互いに幸せを分かち合えるような深い信頼関係で繋がる。平林さんご夫婦の、素材を生みだす生産者と向き合う真摯な姿勢と、研ぎ澄まされた感性が形になったチョコレート。是非ご賞味ください。

Kotje Le Chocolatのおすすめ商品

 

 

◆Dak Lak 74%

Kotje Le Chocolatを象徴するシンプルな板チョコレート。 ドライフルーツのような果実味が特徴的な、ダクラク省のカカオ豆の魅力を最大限に引き出した一品です。

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◆Olive Crunch オリーブ・クランチ

シロップで煮込んだ黒オリーブの乾燥チップをトッピングした板チョコレート。 オリーブの塩気とカリカリとした食感が楽しい、ワインによく合う一品です。

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◆栃木三鷹とうがらしタブレット

栃木県大田原市産の栃木三鷹とうがらしをトッピングした板チョコレート。 チョコレートのフルーティな甘味と、とうがらしの辛味のギャップがクセになる一品です。

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Kotje Le Chocolatの店舗情報

所在地:栃木県那須塩原市青木139-18
営業時間 :10:00 ~ 16:00
定休日 :日・月曜日
アクセス:JR黒磯駅より車で約20分
     関東自動車路線バス「青木別荘前」(最寄りバス停)より徒歩約10分(約800m)

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